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リレーエッセイ
2008年6月

No.77 「酒浸し事件に学ぶ」

杉田 ゆみか


 先日、普段仲良くさせて頂いているファイナンシャルプランナーで、WAFPの会員でもある大塚まさ子さんより、「執筆したコラムが公開されたので‥」とご案内を頂きました。早速コラムにアクセスしてみると、そこには、とある居酒屋で、店員のミスにより洋服共々「酒浸し」になってしまった出来事と、その後度重なったお店側のお粗末な対応にあきれ果てたと言う体験の始終が事細かく記されていました(詳しくはこちら)。

実は、私は、この酒浸し事件の現場に居合わせたひとり。幸い(というのは大変申し訳ないのですが)、大塚さんが壁になってくれたおかげで私は被害を免れましたが、やはりお店側の対応は「もう少し違う仕方があるだろうに‥」と思わずにはいられないものでした。
 
普段の生活の中で、今回の酒浸し事件のような不運で不愉快なトラブルにあうことは少なくありません。しかし、お店側のほんの少しの対応の違いで、トラブルを被った側の心象が驚く程異なる、というのもまた事実。

 その心象の違いはどこから来るのでしょうか?

酒浸し事件でのお店側の対応は、確かに「お粗末」と言わざるを得ないものでしたが、一方で、「全く不誠実極まりない」とまでは言い切れないものであったように私は感じました。

 床に散乱したグラスとアルコールを一心不乱に掃除した事も、焼酎の差し入れを申し出た事も、彼等なりの誠意を示そうとしてのことと思われます。

 しかし、その行動は、「おそばを求めているお客に、一生懸命スパゲティを作って持ってくるコック」のよう。一生懸命なのは伝わりますが、私達が求めていたのは、床を掃除することよりも焼酎の差し入れよりも、「怪我はありませんか?」「申し訳ありません!」という誠意ある謝罪の言葉と、洋服を酒浸しにされた大塚さんとせっかくの打ち上げを台無しにされた私たちへの迅速かつ適確な次善策の提供でした。

 ファイナンシャル・プランナーの仕事は、お客様がお話下さるひとつひとつの言葉の裏側にある真の不安や問題を読み取り、それらを取り除くこと。私も、おそばを必要としているお客様にスパゲティを持っていくような的外れな対応をしないよう気をつけたいものです。酒浸し事件を通じて学びました。

すぎたゆみか:葛飾区柴又生まれ。現在は東京都江戸川区に在住。生命保険会社、金融機関向けのライフプラン/アセットアロケーションシステムの開発会社を経てフリーに。現在は、講師、執筆、個人相談などの活動を行う。


 

 

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